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2007年4月22日

リスティング広告とランディングページにおける情報世界 ?荒川静香はなぜ金メダルを獲れたのか?


荒川静香はなぜ金メダルを獲れたのか

 少し前の話題になってしまうが、今回は2006年トリノオリンピック女子フィギュアスケートで金メダルを獲得した荒川静香選手(現荒川氏:以下同)についての分析から始めたい。「何かでトップに立ちたい」「何かを極めたい」と考えた時、オリンピック選手など特定の世界で活躍している人を分析してみると意外なヒントや共通点が見つかるものだ。

 かの有名な「イナバウアー」。足を前後に開き、つま先を180度開いて真横に滑るフィギュアスケートの技の一つである。今でこそ誰もが知っているワードだが、荒川選手が金メダルを獲るまではその存在は一般にはほとんど知られていなかった。ましてや現在のフィギュアスケートでは加点対象とされていない技である。ではなぜ荒川選手はイナバウアーを練習し、本番も取り入れたのか。そして、なぜ金メダルを獲ることができたのか。

 そこに情報のあり方が明らかになっている。いかに高得点を取るかを考えるのではなく、「フィギュアスケートとは何か」「フィギュアスケートを通して何を伝えたいのか」を追求し、それに対しての自分なりの答え、さらにそれをやってみたいという表現力が実を結んだのである。それまでの競技では、見ている観客や審判員の想定範囲内でテクニックの争いが繰り広げられていた。しかし、荒川選手の競技(正確には演技)には誰も想像し得なかった表現の世界が存在したのである。つまりそれは違和感であり意外性であり、想定されていた情報以上の価値がそこにあった。

 フィギュアスケートなど体操の世界では、その運動と表現の世界に無限の空間が広がっていることを認識しなくてはならない。何回転飛べるかといった単純な世界ではないのだ。その機能性の世界と文化性、芸術性の世界との間に無限の空間が存在する。そして前述のように、すでにフィギュアスケートの世界ではその表現空間が人々に認められ、求められる域にまで達している。審判員を含め人々はその表現力の豊かさに魅了され、本来のルールを無視してその美を最良のものとして評したのである。


情報のマッチングだけでは完結しない

 さて前置きが長くなってしまったが、では、これを広告の世界に置き換えてみるとどうなるのか。特にリスティング広告における情報のあり方を考えてみたい。リスティング広告において、主となる目的は情報の最適化である。検索キーワードを軸にいかにユーザニーズと情報のマッチングを図るかを追求する世界である。またそのマッチングを実現するために、ランディングページ(たどり着くページ)の改善はなくてはならない手法として広く認知されている。しかし、本当に情報のマッチングだけでこの世界は完結するのだろうか。


広告もひとつの感覚情報にすぎない

 ブランディングとしての広告はさておき、「検索」において広告を広告として考えているのは、それを発信している企業だけである。検索結果画面において自然検索結果と有料検索結果を区別しているユーザがどれだけいるだろうか。ランディングページを広告の飛び先ページとして認識し、それによりアクションを使い分けているユーザはどれだけいるだろうか。広告を見る側は、本も雑誌も写真集もDVDも映画もテレビもインターネットもファッションもインテリアも同じように見るだろう。あらゆる情報は等しく人々に入っていく。つまり視覚空間・聴覚空間などの感覚空間の中で、広告もひとつの感覚情報として認識されるのだ。

 ならば、感覚的な広告文やランディングページを作れば良いのかというとそうではなく、広告するものの本質が感覚的にも伝わることが最も重要なのである。ユーザが必要としているのは、人を惹きつけるキャッチコピーでもなければ、目玉商品を紹介したランディングページでもない。いかに企業が感覚的な情報部分を持ち合わせているか。広告を意識する前に、企業は顔と皮膚を持った生きた存在でなくてはならない。


狭小な世界で最適化を競い合う時代は終わる

 リスティング広告を運用する上で媒体選定、予算配分、またはキーワードの追加や細かなランディングページの設定などは、もはや誰もが成し得る最適化手法である。さらに、入札やランディングページ生成までツールで自動化できる便利な時代である。この勢いでますます情報のマッチングが加速していった時、人々は次に何を求め、何を良しとするだろうか。

 検索結果画面やランディングページに想定していた情報そのものしかなかった時、ユーザは検索世界に飽きてしまうのではないだろうか。思い起こして欲しい、フィギュアスケートの世界に存在した機能的世界の先に広がる表現力の世界を。それは広告や検索という枠を超え、感覚に訴える情報であり、その深みであり広がりであり、情報の豊かさなのである。

 幸い、リスティング広告においては数行の広告テキスト文だけでなく、ランディングページという表現力を発揮する場が確実に用意されている。あるはずの情報とともに、想定外の付加価値を持った情報をそこに用意しよう。ランディングページに留まらず、さらにWebマーケティング全体に視野を広げてみると、さまざまな情報の形を携えることで、より一層その価値は向上するとされている。具体的には、ブログ・SNS・ソーシャルRSSリーダー・ソーシャルブックマークなどのユーザによってつくられる情報、いわゆるソーシャルメディアによる情報世界の複雑化、相乗効果が期待できる。

 このように、情報のマッチングを突き詰めるあまり、Yahoo!なりGoogleなりの世界観を中心に広告戦略が展開され、狭小な世界の中だけで最適化すべく競い合う時代は間もなく終わりを告げようとしている。本当の意味で世の中が豊かになった時、表現力の持つ無限の世界が認められ、そこに広がる豊かな情報が追求されていくに違いない。それは情報を受け取る側をも心豊かにし、双方向に価値を高め合っていく関係でなければならない。

(執筆:株式会社アイレップ クリエイティブチームマネージャー 結城志保)




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2007年4月22日 09:40 - [SEMコラム]

 


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