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マイクロフォーマットがもたらす Web 検索の未来
昨年あたりから、検索業界ではセマンティック Web を実現できる「マイクロフォーマット(Microformats)」関連の話題が盛んだ。すでに米国では Microsoft や Yahoo! などがマイクロフォーマットを利用した革新的なサービスをリリースしており、ここ日本でも注目を集めている。
そこで今回は、マイクロフォーマットについて解説すると共に、マイクロフォーマットに対応した検索エンジンや Web ブラウザの最新動向を紹介し、マイクロフォーマットがもたらす Web 検索の未来を考えてみたいと思う。
マイクロフォーマットとは
マイクロフォーマットとは、「既存の HTML 文書を用いて Web ページの情報に意味付けを行い、人にも検索エンジンにも理解しやすく構造化する仕組み」の事である。
「意味を持った Web=セマンティック Web」を実現するには RDF や Ontology といった難解な規格が弊害となるが、マイクロフォーマットは既存の HTML 文書に少し手を加えるだけで容易にセマンティック Web が始められる。この事から「小文字の semantic web(lowercase semantic web)」とも言われている。
ここでキーワード「宮崎」について考えてみよう。当該キーワードは人名や場所などを表すのに記述される事がある。人は文脈からキーワード「宮崎」が人名なのか場所を表しているかを理解する事ができるが、通常検索エンジンはキーワード「宮崎」を「人名の宮崎」であるのか「場所の宮崎」であるかを意味まで理解する事ができない。そこで、マイクロフォーマットを用いて情報に意味付けを行う事により、検索エンジンにも情報の意味を正しく伝える事ができるのだ。
例えばサイト制作者が、個人や組織などのプロフィール情報を意味付ける「hCard」サブセットを用いて、
<div class="vcard"><span class="fn">宮崎</span></div>
とマークアップすれば、検索エンジンはキーワード「宮崎」を「人名の宮崎」であると理解する。また、所在地情報を意味付けする「abr」サブセットを用いて、
<div class="adr"><span class="locality">宮崎</span></div>
とマークアップすれば、キーワード「宮崎」を「市町村名の宮崎」であると理解する。この様に、情報に意味を与え構造化する事で、人にも検索エンジンにも理解できる内容となるのだ。
(※便宜上、各サブセット内で一部プロパティを省略している。またここでは<div><span>タグを使用しているが、ブロック要素、インライン要素の関係が保たれていれば、他のタグを使用する事も可能だ)
そして、マイクロフォーマットの最大の利点に「データの受け渡し」が挙げられる。
例えば、Web ページにイベント情報がある場合、該当箇所を「hCarendar」サブセットを用いてマークアップすれば、検索エンジンにイベント情報である事を伝えると共に、ユーザーはそのイベント情報をマイクロフォーマットに対応した Web ブラウザなどで抽出する事で、スケジュール管理ソフトや Google カレンダーなどのアプリケーションでデータを利用する事ができるのだ。この事により、サイト運営者とユーザーとの接点が密接になると考えられる。
では次に、マイクロフォーマットを利用する事でどんな利点があるのか、検索エンジンと Web ブラウザの最新動向を紹介しよう。
マイクロフォーマットに対応した、検索エンジン・Web ブラウザの最新動向
・Yahoo!「SearchMonkey(サーチモンキー)」の取り組み
米国 Yahoo! が昨年リリースした「SearchMonkey」は「構造化データを使って検索結果を使いやすく、魅力的にする」をコンセプトにしたオープンプラットフォームである。
例えば、サイト制作者がマイクロフォーマットなどを用いて構造化したデータを作成し Yahoo! と共有する事で、検索結果画面上にはこれまでの「タイトル」「説明文」「URL」の情報以外に「価格情報」「レビュー情報」「連絡先」「写真」「動画」などのリッチコンテンツを掲載することが可能となる。その結果、検索ユーザーはこれまで以上に優れた検索体験ができるようになるのだ。
2009年3月現在、同サービスは米国でのみ展開しているが、去る3月16日に開催された「セマンティック Web コンファレンス2009」で、Yahoo! JAPAN 検索事業部の清水徹氏は「SearchMonkey が推し進めるオープン化戦略は Yahoo! JAPAN の戦略とも合致するものであり、また SearchMonkey 自体も未来のあるプロダクトだと判断している」と話し、国内導入について鋭意検討中である事を明らかにした。
また同氏は「検索結果画面に表示される情報が魅力的な内容になる事で、検索ユーザーが的確な意図を持ったクリックが行われるようになる」「SearchMonkey はサイト運営者、検索ユーザー、双方に恩恵を与え合う」と、「SearchMonkey」の魅力についても言及した。
近い将来、日本でも「SearchMonkey」が導入される事になれば、サイト運営者にとって十分な利点が生まれるため、マイクロフォーマットの重要度は間違いなく加速するであろう。
・新機能「WebSlice」を搭載した「Internet Explorer 8」の登場
先日正式版がリリースされた「Internet Explorer 8(以下 IE8)」では「WebSlice」という新機能が搭載された。この機能は、Web ページの特定部分の情報を「WebSlice」に追加する事で、その部分の最新情報を IE8の「お気に入りバー」から簡単に確認する事ができる機能だ。
すでにある機能としては RSS 配信に近いものと言えるが、Web サイトに訪れる事なく IE8の「お気に入りバー」から最新の情報を取得できる「WebSlice」は、新しい情報収集の形とも言えよう。
例えば、ある商品の価格情報だけを追跡したい時、ユーザーはその商品情報を一度「WebSlice」に追加する事で、いつでも IE8の「お気に入りバー」から最新の価格情報を取得する事ができるのだ。
ユーザーはこの機能を利用する事で、毎回 Web サイトに訪れる事なく素早く目的の情報を取得する事が可能となるため、ユーザーの利便性が飛躍的に向上すると考えられる。
この「WebSlice」に対応した Web ページを作るには、Web 制作者はマイクロフォーマットの「hAtom」を基盤とした「hslice」を用いてマークアップを行う事や、「WebSlice」の内容を RSS フィードで提供する必要がある。
すでに日本最大手の価格比較系サイトでは、各商品ページが「WebSlice」に対応しており、最新の価格情報を求めているユーザーに対して最適な形で情報提供が行われている。実は同サイトは IE8がリリースされる以前から「WebSlice」についての解説ページを用意しているなど、その利便性の高さを積極的にアプローチし競合サイトとの差別化に取り組んでいたのだ。
・次々と増え続けるマイクロフォーマットに対応した Web ブラウザ
近年、自由度の高い拡張性から人気を集め、ブラウザシェアの20%を超えるまでに普及している「Firefox」では、マイクロフォーマットに対応した Web ページを見つけ活用する事ができるアドオン「Operator」や、IE8の新機能「WebSlice」と同等の機能を持つアドオン「WebChunks」など、マイクロフォーマットに関連した様々な拡張機能が用意されている。
また、Mac パソコンに標準搭載されているブラウザ「Safari」では、拡張機能「Safari Microformats plugin」を利用する事で「hCard」や「hCalendar」と言ったマイクロフォーマットに対応したページを見つけ、その情報を「アドレスブック」や「iCal」に受け渡す事ができる。
このように、次々とマイクロフォーマットに対応したサービスは増えており、今後更に普及していく事が予想される。
「ミクロ」がもたらすその先には…
以上、マイクロフォーマットとそれに関連する検索エンジンや Web ブラウザの最新動向を紹介してきた。マイクロフォーマットの持つ可能性と今後の Web 検索の示す方向性が理解いただけたと思う。
SEO はベストプラクティスの積み重ねである。マイクロフォーマットは「ミクロ」の事に対応する事でユーザーの利便性や検索エンジンの理解が向上する好例と言えよう。
最後に先に述べた価格比較系サイトを思い出して欲しい。例え実装した段階では実用性が無く日の目を浴びなかったとしても、Web サイトを最適な形でユーザーや検索エンジンに提供し続ける事で、将来、検索エンジンや Web ブラウザなどの技術進化に伴い、サイト運営者に恩恵がもたらされる事になるであろう。
執筆:株式会社アイレップ SEO グループ SEO チーム ディレクター 柴田源樹
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2009年06月22日 15:34 - [SEMコラム]













